Q5 少数色覚の人はどれくらいいるのですか?

 

お答えします およそ男性の5~8%、女性の0.2~0.4%ほどといわれています。

 

 

★ 少数色覚は、親から受け継がれる遺伝によるものです。
 その法則は伴性潜性遺伝(かつては伴性劣性遺伝と言われていましたが、誤解を招く恐れもあり現在は「劣性」ではなく「潜性」という言葉を使います。また「優性」は「顕性」と言いかえられています)です。

 

★ ただよく考えてください。少数色覚だけが遺伝で伝わるのではありません。多数色覚も同じです。つまり色覚自体が、いやあなたの形作る個性はみな遺伝によるものがほとんどです。
 遺伝というと、日本では何か悪いイメージを持つ人が多いのですが、けっして少数色覚を「遺伝病」などととらえないでください。

 

★ 伴性潜性遺伝によって伝えられる個性はX染色体によって伝えられます。女性はX染色体を2つ、男性はX染色体とY染色体を1つずつもっています。
  Xを1つしか持たない男性は、それに少数色覚の情報があれば、少数色覚が発現し少数色覚者となります。
  女性は1つのXにその情報があっても、もう1つが多数色覚の情報であれば発現しません。これが潜性遺伝です。
  女性の2つのXに少数色覚の情報があれば発現しますが、男性に比べその割合はとても少ないのです。

 

★ よく「日本人では・・・」とか「○色人種では・・・」とかいいますが、それはみな生物学上は同じヒトです。ホモサピエンスサピエンスです。
 全世界にみな色覚検査をしたことはありませんから、それぞれ調べた「およその割合」でいうと男性の5~8%、女性の0.2~0.4%が一般的な数値のようです。
 これが、「男性の20人に1人いるよ、おそらくどの教室にも1人くらいいるよ」という根拠です。

 

★ ここから算出すると、女性の10人に1人は、Xの1つに少数色覚の情報がある保因者(キャリアー)となります。
 近年の研究で保因者の女性の色覚は、その他の女性の色覚ともちがっているのではないかという説もありますが、一般に行われる色覚検査でそれがわかることはありません。それほど微妙なちがいだということです。
 少数色覚の男性と保因者の女性の間に生まれた女性の半数が少数色覚になるという計算も成り立ちます。
 男性にくらべ、女性の少数色覚者が少ないのはこういうことから説明がつくのです。

 

★ ここでは、あえて遺伝の形式図は提示していません。
 なぜなら、この遺伝の形式図により、相手の家系を気にする身元調査や結婚差別が行われていた事実がこの国には多くあるからです。さらに、生まれてきた子どもの少数色覚を母親や祖父のせいで悪い遺伝子が伝わったとして悲劇が起きたことも少なくないようです。
 いま「色覚異常」などと検索をかければ、カラーメイトのホームページ以外に少数色覚の遺伝図は出てきます。でも、私たちは遺伝をマイナスにとらえたり「少数色覚でないことを願う」という呪縛から解き放たれるべきだと考え、ここでは掲載しません。

 

★ この割合を人口から算出すると少数色覚である人の数は日本で、女性が約13万人以上、男性は307万人以上、男女あわせて320万人以上という計算になります。
 これだけの人が、検査して「異常」であることを自覚すべきと考えるべきでしょうか。
 少数色覚者が多数色覚者との感じ方の差によって困ることのないような社会に変えていく方が、よほど建設的だと考えます。

 

★ ただし少数色覚者の中には、とてもまれな感じ方をする人もいます。事故や病気で感じ方が異なった人もいます。
 ちがいの内容や差にも多様性があることを知っておいてください。
  ある少数色覚者が「□□はわかるよ!」と説明したとしても、それが全ての少数色覚者の説明にもならないことはふまえておいてほしいと思います。