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みなさんからの【お問い合わせ】

メール等でいただいたみなさんからのご質問にお答えします。

 

Q3 長崎県・よつばのクローバー 様 
【 お問い合わせ内容 】色覚メガネの動画を見たのですが、実際どうなのでしょう。嘘のようですが。当事者の方のブログも有りましたが、本当なのでしょうか? 2019.12.23

A お答えします
よつばのクローバー様
お問い合わせありがとうございます。同様の質問をうかがうのでメガネに興味をお持ちの方が多いのだろうと思います。

今月はじめに大きな研究会で「はじめて本」「検査のまえ本」などを展示販売しました。バリアントールという「少数色覚者の見えにくさを疑似体験でき、バリアフリーデザインに役立てる目的のメガネ」 http://www.variantor.com/jp/で2冊の本の絵を見てもらうと「自分たちが見えなかったものがこんなにはっきり見えるんだ」と驚かれます。そのメガネをかけたまま「検査表」を見せると「まるでわからない。こんねに少数色覚者は見えにくいんだ」と。数百人(?)の方が体験されましたが、何人もの少数色覚者も興味を持っておいででした。
その方々には、子どもたちが学習で使う「赤い半透明の暗記シート」を渡して、まず検査表を見てもらうと「え、生まれて初めて検査表が読めた!」「なんで読めるの?」とこれまた驚きの声。これが、メガネの正体です。
子どもたちは、シートで赤い字を消して覚えます。赤で覆うと赤い字は消えます。赤と緑の差を大きく感じない少数色覚者にとって垢を消し、緑を目立たせることで、読めない検査表は読めるようになる。簡単に説明できる理論ですが、皆さんが驚かれるのです。そして私たちが「これが色覚のちがいですよ」と説明すると理解されます。
ただし、赤いシートをメガネにしたら(実際そうしているのですが)世の中どう見えるでしょう。私も古いメガネを持っていますが、いつも夕焼の黄昏時です。年中かけるものではありません。少数色覚のお医者さんが静脈注射を打つときにかけるとかいう話は聞いたことがありますが、これはあくまでも「検査表が読めるようになる」メガネです。その必要性ならば100均にある暗記シートで十分です。メガネは色を変えたり他の人から色がわからないように光を反射させたりという工夫はしているようですが中身は単純なのです。
ご覧になった動画は□□□□□(※質問者にはその名称をお知らせしましたが、このHP上では伏せます)ではないでしょうか? ほんとうに多数派と同じ感覚になれるとしたら、20人に1人の男性など町でたくさんすれ違いますが・・・だれ一人かけてはいないでしょう。つまり、普段の生活では役に立ちません。それどころか、そのメガネをかけて車の運転することは危険です。最も危険色として表示される赤が消えるからです。また、いま町中には液晶を使った大型テレビのような看板などを見かけますが、あれは塗色ではなく発光色です。私がメガネをかけてみると「画面全体が真っ赤」になります。※すべてではないでしょうが。
こんなご説明でご理解いただけたでしょうか? 何かありましたらご連絡ください。

 

Q2 岡山県・すまいる 様 
【 お問い合わせ内容 】小学校の養護教員をしています。「検査のまえによむ色覚の本」の内容についてお尋ねします。

P4 「色覚の検査は保健室でも受けられるけど・・・」
P15 「これから保健室に行ってくる」「ぼくも受けてみようかな」
の部分についてです。ここを読むと「保健室で検査が受けられる(養護教員に検査をしてもらえる)」と解釈できますが、学校の教職員が色覚検査を実施することについては、どのようにお考えでしょうか。
私は、いろいろ学ぶ中で、色覚検査は医師がするべき検査ではないかと考えています。2014年の文科省「学校保健安全法施行規則の一部改正等について(通知)」の留意事項にも、平成14年3月29日付13文科ス第489号の趣旨を十分に踏まえとあるものの、?として「学校医による健康相談において、児童生徒や保護者の同意を得て個別に検査、指導を行うなど、必要に応じ、適切な対応ができる体制を整えること」と、「学校医の健康相談において」とその場を示してあります。もちろん、養護教員を始め学校の教職員も、困っている(もしくは不安に思っている)子どもや保護者の話を聞き、学校としての対応などを考えていくことは必要と考えていますが、遺伝子情報が分かる色覚検査は学校医もしくは地域の眼科医につなげていきたいと考えています。P4P15に、あの台詞を入れた意図を教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。 2019.12.8

A お答えします
すまいる様
ご連絡ありがとうございます。また、ご返信が遅くなり失礼しました。以下ご返答させていただきます。
ご指摘のシーンについての意図は一つではないのですが、主となる意図をご説明いたします。
私たち本を作成したメンバーとも養護教諭が色覚検査を行うべきではないという考えや運動があることは十分承知しております。また反面、全国的には組織的に学校で検査を進めている地域も多数あることも承知しております。そうした中で、ここ4~5年「検査の是非」が多く論じられてきました。
しかし私たちは「検査の是非」があちこちで論議されている中、色覚そのものについて論じられることが極めて少ないことに疑問を持ちました。色覚多様性の理解なしに人権問題としての色覚問題を論じることはできないと考えました。
さらに「石原表に問題がある」「色覚検査に問題がある」というとらえではなく、「検査の活用に問題がある」ということ。つまり検査の結果により進路指導がされる、就労制限の拡大につながることこそ最大の問題であるととらえました。
1冊目の「はじめて・・・」では色覚多様性をできるだけ子どもや保護者に伝えられるものをめざしまし、教室で読む本、授業で使ってもらうことをめざしました。最後のページに「おうちのかたへ」を入れたのは検査の結果で嘆き悲しむ保護者を一人でも少なくしたいと思ったからです。
2冊目はタイトル通り「検査のまえ」の設定ですが、高校では「健康指導」とは別に「進路指導の一環として」検査が行われている実態があります。これは、一律検査廃止後も脈々として行われている学校(主として工業系)もあります。さらに、色覚多様性に正しい理解もなく「制限」を鵜呑みにして受け容れていることが殆どと言っていいでしょう。検査がなくともマンガの中にありますように求人票の記載で色覚が問われることも多くあり、子どもたちがこの問題に直面するのです。つまり、高校等では少数色覚者は周囲の理解もなく相談もできず「劣った」というレッテルを受け容れざるを得ない状況もあります。
この本を作成するにあたり、ラストをどうするかさんざん論議したあげく主人公が正しい理解をして自己理解の一つとして自分の色覚について「知りたい」という気持ちになったことを入れました。これは、自分の個性を知ることが有意義な面もあり(手引きのJモロン教授のメールをご参照ください)わたし自身を含め運動をしている当事者自身が自分の色覚を捉えている人が多いことからも明らかです。自身も知る、皆が知る・・・人権問題の他の課題と同様、正しいことを知ることから次の方向性が生まれてくると考えています。
私たちのカラーメイトの集まりでは、仮性同色表や他の検査機器の仕組みを学び体験や色覚の違いを多数派少数派で確認し、わいわいがやがや違いを語り合うことで理解が深まりました。同時に、色覚は異常正常の二分化されるものではなく、少数色覚が見えやすく多数色覚が見えにくいものもあることを体感し「少数色覚」という文言を使用すべきと提起しました。私たちにとって色覚のちがいを知ること学ぶことは「とてもおもしろいこと」でした。
マンガの中に体験型を入れたのもそれらを多くの人に体感してほしいからです。
先週、三重で行われた全国人権教育研究大会で書籍販売をしました。その中で、石原表と「検査のまえ」の裏表紙を裸眼とバリアントール(疑似体験可能なメガネ)を使って見比べてもらうコーナーをつくりました。体験した殆どの方は少数派の見えやすさに驚いていました。昨日は滋賀県の養護教員の研修会で体験をしてもらいましたが同様でした。つまり、「見えにくい」面のみが多くの日本人にすり込まれているのです。さらに多くの少数色覚の参加者もコーナーに立ち止まりました。「子どもたちが暗記用に使う赤いシート」ごしに石原表を見てもらうとこちらも驚かれました。中には「生まれてはじめて検査表が読めた」と目を丸くしていた方もおられました。そして「検査まえ」の裏表紙を同様に見てもらうと「多くの人にはこんなに見えいく
いんだ・・・」とも。
本の作成過程や私たちの話し合いの中や全国各地からの問い合わせ等の中で保護者から寄せられる声は、まず「学校の先生方に理解してほしい」が圧倒的でした(です)。また、相談機関がない。学校に聞いても委員会に聞いても答えが返ってこない・・・という保護者が私どもに連絡してきます。
最後に、当事者の立場から申し上げます。わたし自身も少数色覚ですが、「検査を受けたい」と保護者が言ったときに眼科医を紹介されるのは正直がっかりすると同時に腹も立ちます。養護教員の方の困りも理解はできますが、私たちにとっては「たらい回し」の感が歪めません。さらに、眼科医の中には多様性を理解している方もおられますが、「異常を認知させ、制限がある職業を避けさせる」という方針を出している医師が多く、そこへ回されることは、何も知らないままの保護者や子どもにとって有意義なものになるとは思えません。職業制限などが伝えられるだけの「宣告」の場になるからです。
私もかつて「学校での検査をなくすこと」に尽力してきました。しかし、結果、一律検査がなくなったものの無理解からの差別はなくなっておらず、逆に知らない養護教員も増え、その問題に気づく人も少なくなったと実感しています。たとえ検査がなくなっても深く根づいた偏見・差別はなくなりません。この国には子どもたちや保護者が学習する教材さえない・・・私たちが広くマンガを広めたいと考えているのはこれが唯一のものだからです。
色覚検査は、眼科医や文科省が実施させるか否かの問題ではなく、この国の誤った認識の問題であると考えています。なぜならこんな現象は他国には見られないことですから。
以上、お答えになったでしょうか?
よろしくお願いいたします。

 


Q1 福井県・やまみな 様 
【 お問い合わせ内容 】 現在、グラウンドのライン引きにもいろいろな色があります。(白、赤、黄、青、緑)児童にとって、色分けしてあると、他学年が一緒に活動をするときに、色別に指示することができ、便利なように思うのですが、グラウンド(極薄茶色)に対して、これらの色のライン引きを使用することは、(黒板に対しては、基本白と黄色のみ使用するように共通理解はできています)色覚異常疑いがある子にとって見にくい色はあるのでしょうか。教えてください。よろしくお願いします。2019.5.24

A お答えします
やまみな様
ご質問ありがとうございます。

私どもが気がつかない場面での配慮に感謝申し上げます。

さて、ご質問の件ですが、
① 色の見分けにくさですが、グラウンドの状況や天候にも大きく左右されるでしょうが、緑が見分けにくいことが予想されます。また、赤も状況によってはP型(1型)の子どもには見分けにくい場合も想定されます。
ライン同士の見分けではD型(2型)の子どもには赤と緑が混同することもあるでしょう。
線の太さやそれを見る距離、小さくまたは細く見える距離では厳しい子どもは増えると思われます。
② 「色の名前」のみを先生たち指示の材料にされると困る子どもも出てきます。ご承知のように、少数色覚(「色覚異常」と呼ばれる色覚)の子どもの「色の名前」の区分は多数色覚と異なります。「一番外側にある○色の線」とか「黄色の右側にある□色の線」などの色以外の情報を活用するとわかりにくさは軽減できると思われます。
できればシンプルにラインがあると良いですね。わかりやすく区別をさせる方法は色でないといけないのでしょうか? わたしたちから見ると最近学校内は「美しいデザインのため?」と考えてしまうほどたくさんの色で表示や板書等をしている場面も見かけます。そこまで色分けする??と疑問に思うことも。
色には危険色と言われる「警告」を表すものもありますね。あまり色を使い過ぎると本当に目立たせたいものが目立たなくなるでしょうね。

 

みなさんからのご質問をお待ちしています。